特集 眼瞼疾患の「切らない」治療 vs 「切る」治療
企画にあたって
野田 実香
1
1井上眼科病院
pp.139
発行日 2022年2月15日
Published Date 2022/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214288
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眼瞼疾患は,外来診察において実に多く遭遇する疾患である。手術適応が明らかであればそれ相応の手術を行うか,または手術のできる施設に紹介する。それにはおよばない軽度の症例はどうするべきか。はたまた患者が本格的な手術を希望しない場合にどの程度の治療を行うか。そんな場面で検討したいのが「切らない治療」である。「切らない治療」とは,点眼と内服の使い分け,保存的治療,糸を通す程度の侵襲の少ない治療,処置室でできる簡便な処置など,症状や病状によって使い分けられるべき治療法のことである。「切る治療」に比べて消極的な処置と思われがちだが,「まずは症状を改善させたい」などの患者の声が最も反映される治療でもあると考える。軽症の段階で行うべき治療をしっかりと知っておくと治療の幅も広がるのである。ただ「切らない治療」をやみくもに行うだけが回復への道ではない。患者に「切る治療」をタイミングよく勧めることも一般眼科医に求められる技量の1つである。「切らない治療」で効を奏さない,もしくは治療の途中で進行が進んだ場合は,「切る治療」へ切り替える。適宜最適な治療を提供するためにも「切る治療」「切らない治療」どちらの知識も得ておくのが重要と考える。
本企画は,1つの病状に対して「切らない治療」と「切る治療」で,別の専門医にそれぞれ治療方針の特徴や利点,手技やタイミングなどを紹介していただいた。同じ症状でも「切らない治療」と「切る治療」のアプローチの違いを読み比べていただくことで,さらにその症状についての知識が深まることと考える。
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