増刊号 この症例このまま診ていて大丈夫? 病診連携にもとづく疾患別眼科診療ガイド
10 ロービジョンケア
若年者のロービジョンケア
守本 典子
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科眼科学分野
pp.364-369
発行日 2021年10月30日
Published Date 2021/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214199
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クリニック・病院で診るときのポイント
・視機能の発達時期にある乳幼児に対して,器質的異常があっても屈折異常を眼鏡矯正して弱視を防ぐことはクリニックでも病院でも同じである.
・先天無虹彩や白皮症など羞明をきたしていることが明らかな例では,虹彩付きソフトコンタクトレンズ1)か遮光眼鏡の装用を試みる.遮光眼鏡のトライアルを備えていない場合は最寄りのロービジョン・視覚リハビリテーション外来(以下,LV外来)へ紹介する.
・視力や視野の障害が予想される場合,当該の検査ができなくても器質的異常と視反応や行動の観察から身体障害者手帳の診断書を発行できる.視機能の発達が見込まれれば再認定の時期を記しておくとよい.
・これと同時に,LV外来のある眼科か各県に1校はある視覚特別支援学校(以下,盲学校)へ紹介し,早めに療育・教育の支援体制を整える.
・学齢期には授業や屋外活動に支障が生じる可能性が高いため,拡大・遮光など視覚補助具の選定や学校生活上のアドバイスが必要になる.中高生では受験対策とそれを見越した在学中の試験の受け方も重要である.自院で難しい場合はLV外来へ.
・近年,情報通信技術の進歩で視覚障害児の学習環境は改善してきている.また,最近はCOVID-19感染拡大の影響で対面交流が難しくなっている反面,オンラインでの交流が全国規模で広がっている.リモートワークへの移行も視覚障害者には有利に働いているので,そのようなプラスの情報をぜひとも患者や家族に知らせていただきたい.
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