増刊号 この症例このまま診ていて大丈夫? 病診連携にもとづく疾患別眼科診療ガイド
7 網膜硝子体
脈絡膜腫瘍
辻 英貴
1
1がん研究会有明病院眼科
pp.300-304
発行日 2021年10月30日
Published Date 2021/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410214188
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
クリニック・病院で診るときのポイント
クリニックで診るとき
・脈絡膜腫瘍は,腫瘍を直接見ることはできない.そのため悪性黒色腫であっても,黒色調を呈するのは腫瘍の一部分のみが多い(図1).網膜下に明らかな隆起が観察される場合には,腫瘍専門施設へ紹介する.
・隆起に乏しい症例の場合には,経過観察が可能である.高さ(厚み)がない,境界鮮明,網膜剝離などの所見がない,などの場合には,母斑(図2)や網膜色素上皮過形成などの良性疾患が含まれる.
・母斑は悪性黒色腫の母地となりうるものであり,病変の拡大や多発などがあれば専門医に紹介する.
病院で診るとき
・腫瘍は良性か悪性かは,活動性があるかないかが大切で,その根拠となるのはフルオレセイン蛍光眼底造影検査(FA)/インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査(IA)と,腫瘍のサイズの増大があるか否かである.
・FAでは腫瘍による網膜色素上皮の破壊があるかが大切で,腫瘍の高さについてはBモードエコーにて経時的に測定していくのがよい.
・母斑はメラノーマの発生母地であるが,腫瘍の厚みで3mm程度がその境界と考えてよい.悪性黒色腫の場合には,Bモードエコー(図3)とMRI(図4)が診断の補助となる.大きさの変化,特に厚みが2〜3mmを超え,さらなる増大傾向のある場合には,悪性黒色腫に進行している可能性を示唆する.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.