今月の表紙
200V電線による眼部電撃症
曽谷 育之
1
,
中澤 満
2
1加古川中央市民病院
2弘前大学
pp.1071
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213662
- 販売していません
- 文献概要
患者は57歳,男性。作業中に誤って200Vの電流が流れる電線を切断したところ,電撃症により眼部を受傷した。直後から強い眼痛および視力低下をきたし,当院受診となった。初診時,両眼の視力はいずれも指数弁であり,角膜は広範囲の熱凝固がみられ,その表面に焼けた睫毛もしくは鉄片と思われる黒色物が付着していた(上段・両眼)。生理食塩水500mlにて洗浄したところ,熱凝固した角膜上皮は一塊として剝離し広範囲のびらんとなった(下段・両眼)。明らかな角膜輪部や角膜実質の障害はなかった。洗眼処置後は点眼,眼軟膏,内服で感染予防と消炎ならびに角膜の正常な上皮化に努めたところ,3日目には角膜の上皮化が得られ,最終的な矯正視力は右1.0,左1.2となった。撮影には3CMOSカメラSP-321 FRex2(JFCセールスプラン)を用いた。接眼部の視度調整を厳密に行い,ディフューザーを使用し,角膜全体が写るように撮影した。熱凝固した角膜上皮のみが境界鮮明に剝離している様子が観察でき,印象的であった。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.