Book Review
眼内腫瘍アトラス
小幡 博人
1
1埼玉医大総合医療センター・眼科学
pp.892
発行日 2020年7月15日
Published Date 2020/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213621
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著者の後藤浩先生は,眼腫瘍,ぶどう膜疾患がご専門であり,ぶどう膜悪性黒色腫をはじめとする眼内腫瘍をわが国で最も診ている眼科医である。本書は,虹彩腫瘍,毛様体腫瘍,脈絡膜腫瘍,網膜腫瘍,視神経乳頭腫瘍,眼内リンパ腫,白血病の各章からなり,多数のきれいかつ貴重なカラー写真がこれでもかというほど掲載されている。通常,眼内腫瘍といえば,網膜芽細胞腫,脈絡膜悪性黒色腫,転移性脈絡膜腫瘍,悪性リンパ腫を思い浮かべることと思う。しかし本書は,それらはもちろんのこと,虹彩の囊胞・母斑,虹彩・毛様体の黒色細胞腫(メラノサイトーマ)・悪性黒色腫,脈絡膜の血管腫・骨腫・母斑,網膜の血管腫・星状膠細胞腫・過誤腫・網膜色素上皮過形成(肥大),視神経乳頭の黒色細胞腫(メラノサイトーマ)・毛細血管腫などの症例写真も多数掲載されており驚愕する。
眼内腫瘍は患者数が少ないため,遭遇したときに診断や対処に困ることが多い。本書は,同じ疾患でもバリエーションの異なる写真が多数掲載されているため,各疾患の特徴がよくわかり,学習効果が高い。見たことのない臨床像も多く,“なぜこんなことが眼内で起こるのか?”と自然界の不思議に思いをはせることもしばしばである。
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