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疾患の概要
網膜中心静脈閉塞症(central retinal vein occlusion:CRVO)は,視神経内の篩状板付近に血栓が形成され静脈内圧が上昇し,4象限すべてにおいて網膜静脈の拡張と蛇行,網膜出血を呈する疾患である1)。高血圧や動脈硬化などの基礎疾患をもつ中高年に多くみられるが,基礎疾患のない若年者でも発症することがあり,原因として乳頭血管炎などの視神経周囲の炎症が考えられている。循環障害に伴う血管透過性亢進により黄斑浮腫を生じ視力低下をきたす。毛細血管床閉塞の広さによって非虚血型と虚血型に分けられ,虚血型では虹彩新生血管を生じ血管新生緑内障を発症する可能性が高い2)。網膜中心静脈が2本に分かれており,その一方だけが閉塞することで上方または下方2象限のみに病変がみられるものは半側網膜中心静脈閉塞症(hemi CRVO)と呼ばれる。閉塞領域の広い網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion:BRVO)とhemi CRVOとは,動静脈交叉部など中心静脈以外の部位での閉塞か否かで区別できる。
フルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angio-graphy:FA)では,腕-網膜循環時間,網膜内循環時間,無灌流領域(non-perfusion area:NPA)の有無,蛍光漏出の部位と程度を評価する。腕-網膜時間は,フルオレセイン静注後から網膜循環が開始するまでの時間で,正常は10〜15秒である。網膜内循環時間は,網膜動脈充盈開始から乳頭近傍の大静脈に充盈開始するまでの時間で,正常は約10秒である。CRVOでは腕-網膜循環時間は正常またはわずかに遅延していることが多いが,網膜内循環時間は遅延していることが多く3),20秒以上の場合には虹彩新生血管を発症するリスクが高いとされる4)。
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