書評
《眼科臨床エキスパート》知っておきたい眼腫瘍診療
松尾 信彦
1,2,3
1岡山大学・眼科学
2日本眼腫瘍学会
3日本眼病理研究会
pp.984-985
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211855
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本書は現在の日本眼腫瘍学会所属役員と会員の執筆による力作大著である。同学会と日本眼病理研究会との両方に所属している執筆者も含まれており,随所に病理組織学的診断の重要性を説明し,カラー病理組織写真が豊富に挿入されている。
第1章「総説」では眼瞼・角結膜・眼窩・眼内の4区分別に,各腫瘍の定義,良性・悪性腫瘍別の診療目標,腫瘍診断〔目的,診断に必要な技術と設備(写真撮影,画像読影,試験切除と病理診断),診断に必要な人材,診断における問題点〕,腫瘍の治療〔治療に必要な技術・人材・設備(腫瘍の手術,放射線治療,薬物治療),治療における問題点〕,経過観察(治療前の経過観察,治療後の合併症に伴う経過観察,腫瘍再発・転移のチェック,経過観察に必要な技術・人材・設備)などについて概説されている。腫瘍局所のカラー写真,CT像,MRI像,カラー眼底写真,蛍光眼底像,光干渉断層計検査(OCT)像などの画像が示され,解説されている。また,病理組織診断のためには,切除組織をホルマリン固定後,手術を行った眼科医自身が「切り出し」を行うよう推奨している。さらに,眼腫瘍診療は一般眼科医と眼科腫瘍専門医が協力して行うよう推奨,すなわち病診連携を推奨している。
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