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有水晶体眼への人工水晶体移植による近視の矯正
桂 弘
1,2
1慶大眼科
2オークランド大学
pp.1682
発行日 1989年10月15日
Published Date 1989/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211021
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34例62眼の有水晶体眼に対して,近視矯正の目的で,Worst iris claw lensを移植した。緑内障および前房の深さが35mm未満の症例は適応外とした。また,術後に大量のステロイドを投与するため,胃潰瘍または糖尿病を有する症例も除外した。角膜内皮細胞密度は3,000〜4,000/mm2の症例を選択した。術後合併症としては,初期の症例では虹彩炎が多かったが,手術技術の改善とステロイド投与によって減少した。術後に人工水晶体を除去したのは1例のみで,ヒアルロン酸の除去が不十分であったために著明な眼圧上昇と不可逆性の瞳孔散大をきたした症例である。角膜への接触や白内障は認めなかった。角膜内皮細胞密度は,平均11ヵ月の経過観察で,1,500/mm2に減少した2例以外は術前の状態を保持している。最高矯正視力は62眼中50眼で改善し,11眼で不変であった。術後の屈折は,術前の予想値と比較して,1ジオプター以内が39眼(63%),2ジオプター以上異なったのは4眼(6.5%)のみであった。これらの結果より,過度の危険や重症の合併症なしに手術することが可能であると考えられた。しかし,本手術の適応は,コンタクトレンズが装用不能で,職業的または精神的理由で眼鏡の装用ができない症例で,角膜放射状切開術によっても矯正できない場合に考慮されるべきであると考えられる。
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