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特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(6)1988年9月 東京
学術展示
硝子体手術後に高度の遠視化を呈した糖尿病性牽引性網膜症の2例
High hypermetropia developed after vitrectomy in two eyes with diabetic tractional retinal detachment
池田 恒彦
1
,
田野 保雄
1
,
細谷 比左志
1
,
中江 一人
1
,
生島 操
1
,
日下 俊次
1
,
井上 新
2
Tsunehiko Ikeda
1
,
Yasuo Tano
1
,
Hisashi Hosotani
1
,
Kazuto Nakae
1
,
Misao Ikushima
1
,
Shunji Kusaka
1
,
Arata Inoue
2
1国立大阪病院眼科
2明和病院眼科
pp.1132-1133
発行日 1989年7月15日
Published Date 1989/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210892
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- Abstract 文献概要
緒言 有水晶体眼の硝子体手術では基底部硝子体の切除は不可能である。増殖性硝子体網膜症において眼内の細胞増殖機転が進行すると,基底部硝子体を中心に輪状に残存した硝子体が前部眼内増殖症の場を提供し前部輪状牽引を生じることが知られているが,増殖性糖尿病性網膜症ではその重要性はまだあまり認識されていない。我々は,硝子体術後に高度の遠視化を呈した糖尿病性牽引性網膜剥離の2例を報告し,遠視化と周辺部残存硝子体の術後の変化との因果関係につき考察を加える。
症例 症例1は36歳女性。初診時,右眼は黄斑部牽引性網膜剥離,左眼は黄斑外牽引性網膜剥離であった。右眼に対して硝子体手術を施行し以後経過は良好である。左眼もその後牽引性網膜剥離が黄斑部に進行したため硝子体手術を施行した。後部硝子体剥離が少なく周辺部まで網膜と増殖膜の癒着があったため乳頭を中心として放射状に増殖膜の切開を行ったが周辺部に増殖膜が残存した。その後周辺部より再剥離を来したため計5回の手術を行った(図1)。3回目の手術後短期間に約10ジオプトリーの著明な遠視化を呈した。この時細隙灯顕微鏡検査では水晶体後面の彎曲が著明に減少しており(図2),水晶体後面の残存硝子体が網膜面に対して凹面を形成していた。
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