連載 眼の組織・病理アトラス・10
角膜上皮層
猪俣 孟
1
,
岩崎 雅行
1
1九州大学
pp.1022-1023
発行日 1987年8月15日
Published Date 1987/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210163
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角膜の上皮層は表層外胚葉に由来する5〜7層の上皮性細胞からなる.形態学的に,基底細胞,翼細胞,扁平(表層)細胞の3種類が区別されているが,もとは1種類の細胞で,基底細胞がその基本形である.基底細胞が上皮層の基底部で分裂増殖し(図1),古くなった細胞は徐々に表層に移動する.細胞の移動に伴って形態が変化するので,それに応じて,それぞれ別名がつけられている.基底細胞は1層,翼細胞は2,3層,扁平細胞は2,3層からなる(図2).
基底細胞は立方形で,細胞の先端部には微絨毛がみられる.隣接する基底細胞相互間に多数の接着斑(デスモソーム)を形成して接合している.細胞内には細胞の骨格となる細糸があり,それが集って束をなす張原線維が接着斑の部位に集っている.細胞の基底部は半接着斑を形成し,基底板を介してボーマン層に接着している.細胞どうしの間に形成される接着斑は,向い合った細胞のそれぞれの半接着斑が接着して一つの接着斑をつくる(図3).基底細胞の細胞間には,ごく少数のリンパ球や角膜知覚神経として三叉神経の末端が分布している.
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