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特集 第35回日本臨床眼科学会講演集 (その5)
学術展示
眼瞼部に発生したimmunoblastic sarcomaの1例
A case of immunoblastic sarcoma of upper and lower eyebids
根本 慧子
1
,
根本 啓一
2
Satoko Nemoto
1
,
Keiichi Nemoto
2
1新潟県立ガンセンター新潟病院
2新潟大学医学部
1Department of Opthalmology, Prefectural Cancer Center, Niigata Hospital
2Department of the Second Pathology, Niigata University School of Medicine
pp.978-979
発行日 1982年8月15日
Published Date 1982/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410208685
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- Abstract 文献概要
緒言免疫学の急速な進歩とともに,悪性リンパ腫においても概念の変革が余儀なくされ,種々の新分類が試みられ本邦においてもわが国のリンパ腫に適した分類が提案されている1)(表1)。眼科領域においてはリンパ系腫瘍が比較的多いにもかかわらず,その病理組織診断が困難なことも多いためか2,3),その治療,予後について系統的な報告が少ない。著者らは眼瞼部に発生した悪性リンパ種で,LSG分類のびまん性,大細胞型の中の免疫芽球型の1例を経験したので,その臨床および病理所見について報告する。
症例症例は71歳男,家族歴,既往歴に特記すべきことなし。1977年8月,右下眼瞼の腫瘤に気づき摘出術を受け,組織学的に悪性リンパ腫と診断された。眼科的には視力右0.7(矯正0.9),左1.0(矯正1.2)と良好で老人性白内障以外著変を認めず,リンパ節腫脹や肝脾腫はなく,血液学的にも異常を認めなかった。1977年10月右上眼瞼、1978年7月右下眼瞼〜眼窩に再発したがその都度腫瘤を摘出し,1977年には同時発生した直腸癌の手術を受けた。直腸癌は高分化型腺癌で,全摘可能であった。その後,V-E療法,エンドキサソ50mg/dayの維持療法で経過良好であったが,CEAが最高20.6ng/mlまで上昇し,心嚢水の貯溜のほか,末期には脳卒中様症状を呈し死亡,全経過3年6ヵ月であった。解剖はできなかった。
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