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白内障手術後長期を経過した症例群(硝子体脱出のなかった122眼と硝子体脱出のあった34眼)と,嵌頓硝子体があってCMEをきたしてきた症例にanterior vitrectomyを行なった9眼,および白内障手術後4週〜12週の症例群(硝子体脱出のなかった89眼と硝子体脱出のあった14眼)の合計268眼について後部硝子体剥離とCMEの関係を検索し,CMEの発生機序を次のように考察した。
白内障手術後には,後部硝子体剥離が発生したり,進行したりするが,この硝子体の前方への移動によって周辺部網膜や毛様体扁平部・根部などの周辺組織が牽引されると,眼球の中心に位置する黄斑部には機械的刺激が加わり,この部の血管が直接障害されたり,また,この部の網膜のprostagrandin産生が増加したりして血管の透過性が亢進し,CMEが発生する。ただし,このCMEの発生には一時的な硝子体牽引ではなく,慢性の持続的な牽引が必要である。
この慢性の硝子体牽引説によって,CMEの発生が白内障手術後4週〜12週に多いことや,白内障手術後に硝子体剥離をきたしにくい40〜50歳代ではCMEの発生が少ないこと,また,硝子体剥離がすでに術前から完全に完成している高度近視ではCMEの発生が少ないこと,さらには,白内障手術時に硝子体脱出をきたしても前部硝子体切除によって切開創に硝子体嵌頓がなくなっているものではCMEの発生が少ないこと,などの事実が容易に理解されよう。
An attempt was made to elucidate the etiology of cystoid macular edema with due emphasis on pest-erior vitreous detachment. The cases included eyes which underwent cataract surgery long before (122 eyes without vitreous loss and 34 with vitreous loss), 9 eyes which received anterior vitrectomy due to cystoid macular edema and decreased vision caused by traction by incarcerated vitreous, and eyes which underwent cataract surgery 4 to 12 weeks before (89 eyes without and 14 eyes with vitreous loss).
Cystoid macular edema which developed 4 to 12weeks after cataract surgery was ascribable to vi-treous traction.
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