文庫の窓から
医書大全(2)
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斎藤 仁男
1
1研医会
pp.1194-1195
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207955
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明本覆刊の大永版「医書大全」には編集者鼇峯熊宗立道軒と記されているが,「医方大成論和語鈔」には本書の成立に就て,『元の仁宗の時,文江と云う所の守護に孫允賢と云う人がいて,この人が陳無擇が書いた「三因方」,嚴用和が著わした「済生方」の中の要文を抜いて,それに昔より名医どもの書きしるした要文を加えて「医方集成」と名づく。その後,明朝に至つて熊彦明公が「宣明粹方」を撰んでこの集成を加えて「医方大成」と外題を付けた。その後また,熊宗立と云う医者が自分が用い覚えたことを書き加えて「医書大全」と名付けた』(岡本為竹一抱子撰,「医方大成論和語妙」元禄15年刊)と解説があり「医書大全」の原本は中国・元の孫允賢の「医方集成」に遡り,再三の増補改名に依り成立したことが判る。
このいわゆる大永版「医書大全」の巻末には幻雲寿桂(釈寿桂,字月舟,別号幻雲,江州の人,初め越の弘祥,善応の二寺に住す,永正年間洛の建仁寺に遷る。「史記抄」の作者,天文2年12月8日示寂)誌として次の如き跋が掲げられ,「医書大全」のわが国での刊行を称讃している(図5,図6)。
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