Japanese
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連載 眼科図譜・261
角膜に発生したsquamous cell carcinoma
A case of corneal squamous cell carcinoma
西 麗子
1
,
砂川 光子
1
,
塚原 勇
1
Reiko Nishi
1
,
Mitsuko Sunagawa
1
,
Isamu Tsukahara
1
1京都大学医学部眼科学教室
1Department of Ophthalmology, Faculty of Medicine
pp.1086-1087
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207939
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〔解説〕
角膜のSquamous cell carcinomaは,非常に稀で今日まで,数例の報告しかなされていない1,2)。今回われわれは,トラコーマの既往のある,全身的には健康な47歳男子の片眼に,隆起性の角膜腫瘍を経験した。腫瘍は図1,2に示したように3時から7時の方向にわたり,小指頭大,表面凹凸不整で,腫瘍塊は角膜下方に認められた。輪部球結膜との境界も,比較的鮮明で,輪部球結膜より多数の栄養血管の侵入が認められた。角膜の悪性腫瘍が疑われたので,入院の上,生検をかねて,角膜腫瘤を健常部角膜を含み層状に剥離摘出した。腫瘍塊はゴルフ刀で容易に剥離され,腫瘍摘出後の角膜は透明であつた。摘出された腫瘍組織を,組織学的に検索すると,図3,4に示したように,腫瘍細胞は楕円形15〜20μ前後,異型性,核分裂像も認められた。腫瘍細胞は一部では基底膜を越えて増殖しており,悪性とみなされた。またparakeratosis,pearl formation (図5)等の特徴的所見も認められた。Pap鍍銀染色を施行すると,図6に示したように,好銀線維は,腫瘍細胞間に入り込んでおらず,腫瘍は上皮性性格を有しているものとみなされ,carcinomaと考えられた。また鍍銀染色で基底膜の乱れや破壊が明らかである。
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