連載 眼科臨床レントゲン診断学・15
各論(12):神経眼科(その3)—神経眼科とCT (1)頭部正常CT所見
丸尾 敏夫
1
,
桐渕 利次
1
1帝京大学医学部眼科学教室
pp.382-383
発行日 1979年3月15日
Published Date 1979/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207836
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神経眼科におけるコンピューター断層法computedtomography (CT)は,患者に侵襲のあまりない診断法であることから,広く利用されるようになつている。脳実質と脳脊髄液のX線吸収値が異なるために,CTでは,脳室や脳槽が脳実質と区別でき,出血,梗塞および浮腫ばかりでなく,占拠性病変そのものと,それによる脳室や脳槽の偏位あるいは変形が観察可能である。頭部CTは年齢,機種あるいはスキャン方法などで結果も異なることも知つておく必要がある。頭部CTの読影にあたつては,各スライスでの正常所見と解剖がまず認識されねばならないから,本号ではこれらについて述べておこうと思う。
頭部CTの検査方法については,眼窩の場合には,眼窩下縁と外耳孔とを結ぶReid's base line (RBL)が基準であつたが,頭部の場合には図1に示すように,外眼角部と外耳孔とを結ぶcanthomeatal line (CML)から10°顎を下げた状態,すなわち前上りの基準線を用い,基準線に平行に,2cm上方を中心に,上下1cmの間隔で,4スキャン,8スライスの断層撮影を行う。病変部位のコントラストを強くして,画像を一層明らかにするために,造影剤静注による増強法enhancementが行われる。
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