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緒言
溶血性連鎖状球菌(以下溶連菌と略す)は化膿性疾患の起炎菌として知られているばかりでなく,猩紅熱・丹毒・糸毬体腎炎をも惹起するものである事は,従来より知られている。また,リウマチ性病変の発生機転との関係に於て,近来殊に注目され,リウマチがA群溶連菌によるアレルギー炎症の一つであるとの考えから,幾多の研究者によりその発生原因を確かめるべく,種々の試みがなされている。しかし,実験的にもリウマチ病変と全く同一な変化の再現に成功した報告はなく,依然としてリウマチの発生機序に関しては不明の点が多い。
リウマチに於ける主要な病変の場として,関節の他に心臓が注目されたのは1904年Aschoff以来であるが,最近は眼科領域に於て,内因性の葡萄膜炎,殊に古い病巣や,リウマチ性関節炎を伴つた非肉芽性葡萄膜炎の病因に関して,溶連菌との関連が特に注目されて来ている。これら疾患と溶連菌との関連を裏付けるものは,既往症・臨床症状・病理組織学的検索などと共に,病巣よりの菌の検出が最も重要である事は言をまたない。しかし,健康人の咽頭粘膜にすら10〜20%に溶連菌が検出される事が報告されており,その判定は困難な場合が多い。従つてこれらの研究に於て血清学的検索や皮膚反応に重点がおかれるのは理由のない事ではない。
The author carried out the antistreptolysin reaction in 236 cases of various ophthalmic diseases in which uveitis held the main position. The antibody value in the reaction was higher than that of the control in cases of the non-granulomatous anterior uveitis, of the central chorioretinitis, of the retinal detachment and of the orbital tumor. But, the value was not higher than that of the control, in cases of the hordeolum, of phlyctenular con-junctivitis, of herpetic keratitis, of the senile cataract and of optic neuritis.
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