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臨床講義
脳橋疾患の症候群について—ミラルド・ギユブレル症候を中心として
Symptoms of the cerebro pontile diseases
大岡 良子
1
1東邦大学医学部眼科学教室
pp.1269-1272
発行日 1959年9月15日
Published Date 1959/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206747
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脳に疾患或いは損傷があつた場合に全身に種々なる神経学的症状(Herdsymptomとして)が現れる事は云う迄もない。眼科の立場からこれを考えて見ると,眼球に関係ある脳神経は視神経を始めとして,多くのものがこれに関与している。従つてそのHerdsymptomとしての価値は極めて大である。大脳疾患としては主として視野,視力を中心として症状が現われ,中脳(脳橋,延髄,小脳)以下に於いては主として眼筋に現われ,しばしば外眼筋麻痺により上眼瞼下垂及び麻痺性斜視や,又内眼筋麻痺により調節麻痺及び麻痺性散瞳を伴つて来る。然しながらこれらの症状は種々なる組合せをもつて現われて来る為その病集の所在を確定する事が必ずしも容易な事ではない。とは云え,これらの症状が定型的で特徴のある症候を示して来る事もしばしば存在する。この様な時にはその病巣の位置を相当の確実性を持つて推定する事が出来る。特に眼筋麻痺の出現状態は,他の脳神経の刺激症状や脱落症状と合せて症候の特徴を示し,眼科学的に中脳以下に於ける病巣位置推定に重要な役割を持つている。
今回は脳橋腫瘍により特徴ある定型的な症候の一つであるミラルド・ギユブレル症候(Millard-Gübler's Syndrom)を示した症例につき臨床並びに病理解剖所見を述べ,これに関連し脳橋部症候群の眼科的所見,特に鑑別診断につき,いささか述べる事とする。
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