特集 トラコーマ
シンポジウム
トラコーマの診断に対する2,3の考察
赤木 五郎
1
1岡山大学眼科教室
pp.1548-1561
発行日 1957年12月20日
Published Date 1957/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206203
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I.緒言
トラコーマの診断に就ては,古くから多数の人々に依つて種々研究されており,近くは昨年の第10回臨床眼科学会に於て,桐沢1),國友2),萩野3),失追4)の四氏によつて,トラコーマの臨床的診断と題するシンポジウムの形で充分に討議され盡されたのではあるが,此の問題は私共眼科医にとつても又社会一般の大衆にとつても重大な意味をもつており,又私は私なりの意見を持つているので蛇足とは思うが,茲に卑見を申し述べて大方の御批判を仰ぎ度いと考えて居る。
御承知の如く,1955年9月,ジエネバ市に於て開催されたW.H.Oのトラコーマ専門委員会6)に於て,トラコーマの診断基準が決定されたが,それに依れば,トラコーマは1.濾胞(結膜及び角膜輪部)2.角膜上方部の上皮性角膜炎3.角膜上方部のパンヌス4.特有な瘢痕の四つの条件の内,勘くとも二つを備えなければならないと規定されて居る。
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