新刊書紹介
—B.Cushman—Strabismus, Diagnosis and Treatment.1956(Lea and Febiger),他
桐沢 長徳
1
1東北大学
pp.1213-1214
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206136
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斜視一般を眼科医(及び学生)の為に分りやすく書いた本で,複雑な斜視に関する諸問題を比較的簡潔に記述してある点が特長である。元来,斜視は日本に於けるよりも遙かに欧米に於いて重視せられ,今までも多数の著書が刊行せられたのであるが,今以て多数の問題が未解決のまゝであることは本書のVail緒言でも知られる通りである。たとえばその発生論に関しては解剖学的立場を重視する人と神経学的原因を重視する二大流派があり,その検査法や手術法も区々であり,手術の時期,方法,Orthopticsの評価に至つては多数の異論が今もなお多いようである。このような混乱にも拘らず,手術の結果が比較的問題となることの少いのは母なる自然が,良能の手によつてうまく救つてくれるからに外ならない,と実に耳痛い言葉でVailは皮肉つているが,このことを特に痛感させられるのは外ならぬ,わが国に於いてゞあろう。この故にこそ,後ればせ乍ら日本に於いても明年の学会では斜視のシンポジウムが行われることになつたのであるが,その講演を聞くためにも斜視の病態生理並びに欧米で行われているroutineの検査法に通じておくことは絶対に必要であつて,そのためには本書のような書物が適当と思われる。
著者はDuane,Whiteの流を汲む女医であるが全体を二部に分け,第1部は診断,第2部は治療とし,第1部を更に検査法及び眼筋及び共同運動の異常に分類し,第2部は治療の各論について述べている。
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