第24回日本臨床眼科学会 Group Discussion
眼感染症(第7回)
pp.1495-1499
発行日 1971年5月15日
Published Date 1971/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204598
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I.先天性風疹症候群
1.先天性風疹
—とくに疫学と病因について—
値田 浩司(九大小児科)
風疹による先天異常(先天性風疹症候群)は新生児期の一過性の症状(栓球減少性紫斑病・肝脾腫・低出生胎児・骨病変)および永久的の障害(白内障・心疾患・難聴など)がある。妊婦が妊娠第1三半期に風疹に罹患すると胎児に風疹ウイルスの慢性持続感染がおこり,これが多彩な先天異常をおこす病因である。
血清疫学的調査では妊婦の風疹抗体保有率が,日本北部ではほぼ100%,南部では80〜90%であり,南の離島では風疹抗体陰性の妊婦がきわめて高頻度にみられ,したがつて1965年以来の日本全土を襲つた風疹流行により,風疹症候群児の出生が北部ではきわめて稀,南部に少数の発生,そして沖縄地方には多発がみられた。風疹ワクチンも完成し,本症候群も近い将来に姿を消すであろう。
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