Japanese
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特集 網膜と視路の電気生理
糖尿病性網膜症とERG
Electroretinogram in Diabetic Retinopathy
米村 大蔵
1
Taizo Yonemura
1
1金沢大学医学部眼科学教室
1Department of Ophthalmology, Kanazawa University School of Medicine
pp.23-28
発行日 1971年1月15日
Published Date 1971/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204428
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はじめに
Karpe (1945,1948)の先駆的であるとともに系統的な仕事にはじまり,古典的ERG (ことにa波とb波)は種々の疾患について研究されてきた。糖尿病性網膜症のERGに関してもいくつかの報告がある。Françoisら(1954)は進行した網膜症でもERG振幅は正常値をとりうることをみ,Müller-Limmroth (1959)やSchmöger(1959)は,網膜症の初期ではERGは正常であると述べている。Jacobson (1960,1961)は増殖性網膜炎や網膜剥離を有しているような重症の網膜症でなければERGは変化しないと考えている。Straub (1961)は軽症の網膜症患者の大部分のERGは正常であるといつた。ただし,ごく少数の軽症例では,b波の増強が報告されている(Karpeら1958)。要するに古典的ERGの領域では,網膜症がかなり進行しないかぎり,ほとんど異常をきたさないと考えてよい(Jayleら1965,Duke-Elder 1967)。
強い刺激光を用いるとき,b波の上行脚に一連の小波が重畳する(Cobbら1953,Bornscheinら1957,Heckら1957, Rendahl 1958,米村ら1962a,b,c)。
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