Japanese
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連載 眼科図譜・152
弾力線維性仮性黄色腫にみられた梨子地眼底
"PEAU D'ORANGE" FUNDUS IN A CASE OF PSEUDOXANTHOMA ELASTICUM
松井 瑞夫
1
Mizuo Matsui
1
1駿河台日大病院眼科
1Department of Ophthalmology, Surugadai Hospital of Nihon University
pp.951-952
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204340
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〔解説〕
弾力線維性仮性黄色腫Pseudoxanthoma elasticumに網膜色素線条retinal angioid streaksがみられることは広く知られているが,近時色素線条と一緒に,あるいはこれとは無関係に,網膜にびまん性の顆粒状の色素変化が出現することが注目されるようになつてきた。本邦においては,清水がこの所見について詳しく論じ,梨子地眼底とよぶことを提唱している。そして,清水は,Klienの病理組織学的検索などを参照にし,本病変は,硝子膜の肥厚変性,色素上皮内の色素の移動が原因となつて起こるものと考えられ,また,本病変が弾力線維性黄色腫患者の唯一の眼底病変であることがあり,診断的,病因論的に色素線条と同等の値価を持つものであること,色素線条出現以前の,比較的初期に属する変化であることなどを明らかにした。欧米では,この病変は,mottled fundus, pigment stippling, peudo d'orangefundusなどとよばれている。
今回の症例は,24歳の男性であり,頸部腋窩などにやや黄色調を帯びた線状配列をとる皮疹に気づき,駿河台日大病院皮膚科を訪れ,弾力線維性仮性黄色腫と診断され,眼底検査の目的で,われわれの眼科外来を訪れたものである。家族歴,既往歴にも特記すべきものなく,視力は両眼とも1.5で眼鏡不応であつた。
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