銀海余滴
開業医の雑記帳
三宅 正夫
pp.82
発行日 1970年1月15日
Published Date 1970/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204214
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身体検査時の視力の管理
神奈川県では眼科医が高等学校の校医を依頼され,生徒たちの健康管理に携わるようになってから3年になる。私は視力に関しては次のように管理している。視力は4〜5月に行なわれる定期検診のほかに10〜11月に再度検査を行なう。年に3回はやりたいが学校側の希望もあり現在は2回しか行なっていない。全生徒の視力を1.0以上のグループ,0.9〜0.6のグループ,0.5以下のグループに三大別している。このように分けた理由と目的は視力低下しても片眼視力各々0.6以上(両眼視力0.7以上)あれば黒板の字は見えるとされている。われわれ健康管理者が視力について意を用うるところは近視の予防である。4〜5月の検診時に1.0以上あった者が10〜11月の第2回目の検査で,0.9〜0,6にまで低下したとすると眼鏡装用しなくても勉学には差し支えないが,そのまま放置しているとさらに視力低下の恐れがあるということと,偽近視であれば治療ならびに注意により1.0以上に回復する可能性があり,また真性近視であっても注意によりさらに視力低下を防ぐことができる。軽度の視力低下にはこのような段階があるということを知ってもらうのが第1の目的である。第2の目的はさらに視力低下が激しく0.5以下になった者は,眼鏡装用が必要であり,そうしなければ学習に支障をきたすかもしれないということを知らせるためである。
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