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I.緒言
眼圧の問題は,緑内障に関連して重大である。この眼圧を左右する因子は多種多様で,従来の各種の緑内障誘発試験をはじめ,眼圧日内変動の問題など未解決のものが多い現状である。最近2例の興味深い緑内障患者に遭遇した。第1例は単性緑内障の婦人患者で,居眠りあるいは午睡後に眼圧が上昇して角膜浮腫混濁をきたした例である。この仮眠の時間は数分の短時間でもこの発作が起こり,午前,午後および夜間の時刻とも関係がなかつた。第2例は慢性炎性緑内障の老人患者で,左眼の白内障手術のため右眼も術後眼帯を施しておいたところ,手術後3日で右眼が緑内障のため失明し,そのための緑内障手術の結果もついに失明に至つた。第1例は従来の誘発試験にも記載がない。これは眼圧日内変動にも関係がないようである。眼圧日内変動は動物体の生活リズムに関係があるが,この変動も個人差があり,診断的価値の少ない場合もある。動物体の本質的リズム,たとえば呼吸,心拍から血圧,さらに性周期,冬眠周期などと同様なリズムが眼圧にもあるが個人差を説明する材料には乏しい。
第1例の仮眠後の眼圧上昇については,一応閉瞼が眼圧を左右したと考え,閉瞼による眼圧変動の研究を計画した。
A series of clinical study was conducted on the variation of the intraocular pressure indu-ced by sustained closure of the eyelid in the recumbent position for 45 minutes.
In 60 eyes in 30 normal subjets, no definite trend was noted in the induced variation in the intraocular tension (average : 0.34 mmHg). A significant rise in IOP was induced in 10 eyes with wide-angle glaucoma and in 6 eyes with narrow-angle glaucoma (average : 3.79 and 3. 55 mmHg respectively). A more pronounced rise in the IOP resulted in 6 eyes with secondary glaucomas at an average of 9.02mmHg.
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