印象記 第68回日本眼科学会総会印象記
4.終始円滑に進行(第2日,第1会場にて)
杉浦 清治
1
1東大
pp.903-905
発行日 1964年7月15日
Published Date 1964/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410203000
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総会第2日の第1会場では角膜(16題),眼圧,房水,緑内障(8題)に関する講演が行なわれた。今年は角膜に関する研究発表がこのように多かったが,これは角膜移植に関連して関心が向けられていることにもよるが,角膜という組織はもともとそれだけの面白さを持っているのである。阪大が全演題6題をすべてここに投入しているのが印象的であった。
午前の講演はまず杉浦ら(東大)の角膜に関する発表から行なわれた。従来の研究では三叉神経第1枝を切断しても保護しておけば角膜には何ら特異的な形態変化はみられないとされていたが,実は多角形細胞が円くなり,その周りに隙間ができている,これは角膜上皮の分葉構造をばらばらに解体させている変化であって点状上皮剥離の傾向はこれによつて説明できるというのである。神経麻痺性角膜炎は古くからの難問であるが,どうやらこれを解くいとぐちの1つを見付け得たような気がする。瀬川氏(信大)は人及び猿眼につきは同種の細胞と思われる電顕所見を追加した。浅山氏(山口大)はIDUを作用させた時のウイルスの変化を電顕にて観察し,ウイルス増殖の抑制を示す変形粒子が核内及び細胞質内に存在する写真を示した。IDU療法が実用化された現在身近かなものとしてきいた人が多いであろう。
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