談話室
コンタクトレンズと眼鏡商の問題
水谷 豊
1
1日本コンタクトレンズ研究所
pp.1095-1096
発行日 1962年10月15日
Published Date 1962/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202590
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コンタクトレンズの取扱いが医療法上,医療行為である事は,己に厚生省からの通牒を待つ迄もなく,明かな事であるが,残念ながらコンタクトレンズの処方を非医者が行っている事実が,徒らに看過されている。殊に最近では,東京都の各デパートや眼鏡店等が,コンタクトレンズの新聞広告や看板を堂々と出したりして,コンタクトレンズと眼鏡店との結びつきを誇張し,国民の眼をその方へ向けようとしている。検眼問題にしても,吾々眼科医の不安と努力とをよそに,実際上眼鏡商の宣伝と非行が黙認されつつあり,更にこの上に,コンタクトレンズのような眼内処置を要する行為迄,眼鏡商があえて行うようになっては,眼科医の立場として,放置しておくわけにはいかないはずである。
コンタクトレンズを医療上最も有効に利用するために順天堂の故佐藤勉教授と私とが共に心配し合ったのはこの点にあった。この社会問題解決のために,数年前コンタクトレンズ研究会,続いて学会が誕生し,更にメーカーの集りである協会が結成された。然し現実には,これらの会や眼科医会の努力にもかかわらず,非医者のコンタクトレンズの取扱いの事例は日々増加こそすれ,決して減少する気配は認められない盤今日に及んだのである。
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