私の経験
白内障手術後に起れる緑内障症例—(2)前房内への硝子体ヘルニア(切裂法後に見られたる)に依り緑内障が起れりと思わるる白内障手術症例
瀨戸 糾
1
1三楽病院
pp.933-934
発行日 1955年6月15日
Published Date 1955/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202264
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此の種の緑内障が将たして硝子体の一部が前房内に篏鈍せる事に依つて起きたものならば,之れに虹彩切除術や管錐術の如き前房を開く手術を加えんか,その原因たる可き硝子体の篏鈍が猶お一層強めらるるを以て,無効なるのみならず,却つて悪化せしむる様にも思わる。寧ろ硝子体を眼球の後部で漏らす手術が有効なる可きを思い,次の2例に鞏膜赤道部に管錐術を試む。2%プロカイン液(アドリナリン点加)を下外方の眼球赤道部に注射後,中央は角膜縁より5mm両端は10mm位離れて,長さ1.5cmの切開を球結膜に反勢にて加う。反剪の開閉を繰返して鈍力的に球結膜下を剥離して,下外方の鞏膜赤道部を充分に露出す。球形電極を以て赤道部の鞏膜面に直径約4mmに亘つて狐色に焼灼し,或は5mmの円周上の8〜10カ所にパクレン氏焼灼器にて軽く焼灼し,次で2mm管錐にて管錐術を行う。管錐せる鞏膜片を除去するも硝子体の漏出なき時は,線状刀を管錐孔より軽く僅かに刺入して硝子体を漏らす,術後眼圧は非常に低下す。
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