臨床実験
白内障全摘出手術を安全,確実且つ容易に実施する爲の術式の檢討(Ⅱ)
大島 勇一
1,2
1慶大眼科
2警友病院眼科
pp.836-838
発行日 1955年5月15日
Published Date 1955/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202235
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Ⅱ.白内障全摘出術式に就いて
術式の展望
白内障全摘出は古くから多くの術者によつて試みられ,従つて十人十色数多くの方法とそれに用うる器械が発表されて居る。しかしそれらを大別すると,大体四つの方法に分けることが出来る。即ち1)圧迫による方法,2)水晶体後方に匙その他を入れて掬い出す方法,3)鑷子,吸引器その他で牽引する方法,4)チン氏帯を直接離断する方法等である。
1)この方法は最も原始的な方法であつて,Kirbyによれば,英人のSharpeが既に1773年意識して親指で眼球を圧迫して,全摘出を行つたとの事である。しかし後に至つてSmithによつて完成され,同時に偶然に発見された水晶体が足を先にしてデングリ返しで出て来る。従つて虹彩切除の要がなく,又硝子体脱出に対して上縁の未だ切れないチン氏帯が柵を廻らした様にそれを阻止する等,特長のあるデングリ返し法と共に,近代全摘出法の基となつている事は周知であるが,Smithの原法は稍安全確実性を欠くため現在では用いられない。
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