臨床実験
癩性結節性紅斑の眼症状
日比 久子
1
,
塩沼 英之助
1
1国立療養所長島愛生園
pp.779-782
発行日 1955年5月15日
Published Date 1955/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202219
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結節癩は其の治療経過中に結節或いは浸潤の吸收時に当りその皮膚に屡々癩性結節性紅斑Eryt-hema nodosum leprosumを生ずる。この際,臨床的には発熱,激しい神経痛,関節痛を伴い時に膿疱を形成し急性期には赤血球沈降速度は促進し白血球特に好中球の増加を来す。
此の癩性結節性紅斑(似下E.N.Lと略称)の眼科領域に於ける変化としては眼瞼皮膚の発赤及び圧痛ある小豆大の隆起物として認め或は上鞏膜炎として認められる事がある。癩性虹彩毛様体炎は通常刺戟症状を欠き慢性のものである。然るにE.N.L発生時に屡々急性虹彩毛様体炎を併発するものであつて之は激痛を以て患者を苦しめ又視力障碍を残し何回も繰返して起る故に失明の重要な一因となつている。両者の関係に就ては既に内田氏等の一部抄録による報告があるが,今回我々は長島愛生園入園中の結節癩患者中,治療により光田氏反応陽転せる者42名及び最近1年間(1953年)に急性虹彩毛様体炎で治療を受けた者72名に就き,特に癩性結節性紅斑と急性虹彩毛様体炎との関係を調査した。
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