臨床実験
骨盤端位分娩時の臍帯の圧迫に因る角膜実質溷濁
小原 博亨
1
,
戸谷 いさ
2
,
須知 仁
2
1名古屋鉄道病院
2常滑須知眼科
pp.770-771
発行日 1955年5月15日
Published Date 1955/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202216
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私共は鉗子分娩に因る角膜実質の溷濁の一例に遭遇して之は鉗子分娩に因る止むを得ざる眼障害であると患者の両親を納得させたが助産婦にとつては鉗子に因る眼障害と云う事は患家に対する自己の立場からも甚だ不満に思つて居たのかも知れないし,亦,疑問を持つに到つたのかも知れないが,其の後,間も無く前記助産婦により扱われた正規分娩(鉗子分娩で無の意)ではあるが角膜実質の溷濁有る例に遭遇して前記助産婦に因り正規分娩でも角膜実質溷濁が来るから前記角膜溷濁は鉗子に因るもので無いと暗々に主張された。私共は正規分娩でも斯る事が有り得ると説明したが,其の機転の解明に苦しんで居たが,第140回名古屋集談会で吉田義治教授は骨盤端位分娩の際には臍常の圧迫に因り特異の角膜溷濁が起り得る事を明かにされたが,私共の例も全く吉田教授の例に一致するのて今迄報告されて居る骨盤端位の鉗子を使用しない場合の眼障害に対するWeckerBockの場合と異る事を報告する。
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