特集 眼科臨床の進歩Ⅲ
腎疾患・高血圧と眼
高血圧と眼
中泉 行正
pp.657-661
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202200
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大正年間より昭和の始めにかけては,高血圧について論ずるものは,必ず腎硬化症,慢性腎炎,続発性萎縮腎,原発性萎縮腎などと云つたもので,其頃は眼疾患についても蛋白尿性網膜炎という名は,蛋白尿が原因ではないから腎炎性網膜炎と命名すべしなどと論じあつている時代であつた。其後本態性高血圧(Essential Hypertension)が論じられ,高血圧の原因となるものが不明で,腎疾患と因果関係なき慢性高血圧と云われていた。
高血圧を起す原因は腎以外にも種々沢山あるけれども,そのいずれも原因不明のものが本態性高血圧である。但し,すべての本態性高血圧と錐も,其末期には腎疾患を起し,因となり果となり,其の主客が,にわかにわからぬ様になる事が展々である。
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