カラーグラフ 眼と全身病
高血圧と眼,高血圧性網膜症
宇山 昌延
1
1関西医科大学・眼科
pp.1400-1401
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221808
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全身の高血圧や動脈硬化によって,眼底に変化がみられるので,高齢者や人間ドックに眼底検査がとり入れられている.しかしその意義は,内科の先生方に正しく理解されているであろうか.
眼底にみえる網膜血管は,動脈は視神経乳頭上で口径およそ100μm,それから2分岐を繰り返して細くなり,検眼鏡でみえるのは30μm位まで.組織学的には細動脈arterioleであって,内膜,筋細胞の中膜,および外膜から成り,内膜には内弾性板はない.また機能的には吻合のない終末動脈である.血管運動神経の支配は証明されておらず,血管の収縮は血液中の化学物質による液性伝達によっている.眼底検査で直接みえる血管はすべて網膜の表層にあり,動脈は細くて鮮赤色,静脈は太くて暗赤色にみえる.眼底検査では血管内腔を流れる血液すなわち血流をみている.血管壁は正常では透明なのでみえない.血管壁に変性や肥厚が起こって不透明になると初めて血管壁がみえ,血管壁の反射が亢進したり,血管は白鞘や白線化してみえる.
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