特集 眼科臨床の進歩Ⅲ
白内障
白内障全摘出術と角膜移植術
中村 康
1
1日本医科大学
pp.549-560
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202187
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此度欧米を巡遊し30に垂んとする大学クリニツクと大病院クリニツクを訪ねて,白内障全摘出術と角膜移植術を目のあたりに見て,此方面に於ける手技が本邦に於て充分に行きわたつていないのを知つたので,私の従来の経驗と欧米諸家の術式とを混ぜ合わせ,簡易であり且つ確実な術式の解説をしてみたいと思う。欧米に於て此二つの術式,がどうして現在の如く普及したのであるかを調べてみると,1950年ロンドン市で開かれた第16回国際眼科学会で,此等二つの術式が一つ一つ問題としてとりあげられ,多くの人から論議されているのであつて其後著しい進歩を見せたもののようである。本邦に於ては此学会にも出席せず,其報告書も亦紹介される処が尠なかつたために,欧米諸国の其に立ち遅れの形をとつたものと思われる。文字で書くよりも図で示した方が解り易いので図示することにするが,此方面の多数の療法をも加へて述べる必要もないと思うが,其手術中の誤りなどのことについては,多少の迫記をするけれども,省読者自身で経驗した手技の良否については専問書を飜いて自己批判して載きたい。
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