臨床實驗
眼疾患に對するコーチゾン療法の檢討(第2報)—コーチゾンの創傷治癒に及ぼす影響に關する實驗的研究,臨床所見/眼疾患に封するコーチゾン療法の検討(第3報)—コーチゾンの房水蛋自量,アノンブミン量,グロブリン量及びpHに及ぼす影響に就いて
吉岡 久春
1,2
,
三村 璋一郞
1,2
,
山口 哲二
2
1長崎大學眼科學教室
2長崎大學眼科
pp.985-997
発行日 1953年11月15日
Published Date 1953/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201671
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コーチゾンが前眼部の急性炎衝性疾患又は眼内手術後の不愉快な炎衝に著効を奏する事は周知であり,又使用にあたつては,他の藥劑と同樣,其の適應症,投與法,濃度,期間等に注意を要する事は多數の人々によつて指摘されている。併し眼内手術後コーチゾンを應用すると,術後の炎衝が速かに消退する事は多數の報告があるが,この際手術による創傷治癒に及ぼすコーチゾンの影響に關する知見は甚だ少なく,未だ充分に闡明されていない。
從來のこの方面の研究をみると,Ragan andothers.(1949), Spain and others (1950)等の實驗的研究によれば,コーチゾンで處置したものは新生線維芽細胞の形成が妨害されるが,すでに形成された肉芽組織には無害であると報告した。眼科に於ては僅かに,Leopold and others (1951),Newell and Dixon (1951), Ashton and Cook(1951),Steen (1951),山敷等の實驗的報告があるのみで,氏等は主に角膜上皮再生に關するもので,其の他の創傷治癒に關する點は全く不明である。
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