臨床實驗
涙嚢部腦ヘルニヤの1例
早野 三郞
1
,
栗林 保人
1
,
三村 昭平
1
1信州大醫醫學部眼科
pp.969-970
発行日 1953年11月15日
Published Date 1953/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201665
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腦ヘルニヤに關しては産科,耳鼻科で時々報告されているが,眼科領域に於ては此疾患自體が稀であるばかりでなく,顔面に生ずることが比較的少く,眼に直接關係を有することは實に稀であるためか,本邦では南,濱崎,中島,富田の諸諸氏の他2,3の記載しかない。眼科でみられる本疾患は一般に眼窩腦ヘルニヤでこれは後部眼窩腦ヘルニヤと前部眼窩腦ヘルニヤとに分けられ,前者では眼窩嚢腫,後者では好發部位が涙嚢部附近にあるので涙嚢の諸疾患と,或はその他の腫瘍と誤られることがある。私共がこゝに報告する症例も初診時修飾されていた附随症状を重視したため誤診し,死後剖検により眼窩腦ヘルニヤを確認したものである。
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