臨床實驗
縮瞳藥の眼壓下降作用に及ぼすルチンの影響に就いて(1)—縮瞳藥,ルチンのフルオレスチン液に對する血液房水柵の透過性に及ぼす影響に關する實驗
吉岡 久春
1
1長崎大學眼科
pp.386-388
発行日 1953年8月15日
Published Date 1953/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201558
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血液房水柵は正常眼内液の新陳代謝に重要な役割を演ずるものであるが,從來多くの研究者は,縮瞳藥がこの血液房水柵の透過性を高める事を観察した。然し血液房水柵透過性増加と眼壓との關係に就いては,諸家により意見を異にし,未だ充分闡明されてない。
縮瞳藥による眼内壓の下降に關する解釋は一般に以下の樣に考えられている。即ち1)瞳孔及び毛樣筋の收縮,それによりて鞏膜岬を牽引し,前房隅角が廣くなり,シュレンム氏管への房水の流出が容易となる。2)色々の程度の小血管の擴張は脈絡膜靜脈叢を通しての液體の排出を促進し,之に加うるに毛樣筋の收縮はひいて毛樣體部の小動脈を壓迫し,毛樣體の動脈血供給が減少するため房水の産出も少なくなるというのである。
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