臨床實驗
眼窩ノイリノームのI例
井上 一正
1
1福生病院
pp.683-686
発行日 1952年9月15日
Published Date 1952/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201261
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ノイリノームとは1907年及1910年Verocay等に依つて提唱された神經繊維腫の亞型であつて軸索,髄鞘の無い神經繊維腫であり,Schwann氏鞘細胞が瀰漫性並に限局性の異型的増殖をなし,腫瘍状を呈し,結締繊を認めないと述べ,此のSchwann鞘細胞は神經節,神經膠質細胞等の共同の母細胞等と起原を同じくする外胚葉性のものであり,是等の母細胞が異常なる發育をしてSchwann氏鞘細胞の増殖がSchwann氏鞘を占有したのであると述べている。
其の組織學的所見は有核神經繊維細胞に依つて形成される大小の繊維束が錯綜して大小のHerdを形成する。此の個々の繊維細胞は主として紡錘形を呈し,時として卵圓形,圓錐状を呈し,密集し,錯綜し,波紋状を呈し,細胞核は所謂分列式状配列(Parad estellung)を呈する。Pick-Bilsch—owsky等はノイリノームをUnreifes Neuromに相當するものであると述べた。而してVanGiesonに依り黄染する故結締繊性のものでない事は明かである。Verocayは結締繊の參與がノイリノームの組繊像を支配する如く多い時は之を混合腫瘍と認めFibroneurinomeと稱した。又Verocayはノイリノームで核の増加甚しく多樣なる形態を呈するものをNeurinoma sarcomat—odesと稱した。
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