特集號 第5回關東甲信磐越眼科集談會
普通講演
(16)レチネン還元酵素系に就て(其の1)
古城 力
1
1日本銀行醫務室眼科,東京大學醫學部生化學教室
pp.115-118
発行日 1952年2月15日
Published Date 1952/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201066
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淡水魚を除いた多くの海,陸の脊椎動物の網膜桿體外節には視紅と呼ばれる光に敏感な感光物質が存在する。桿體は夜間の視力を司り視紅は夜間の視力に切つても切れない密接な關係がある。視紅は光及熱反應に依り紅色より橙・橙黄・黄色を經て眞白に褪色する事は,既に良く知られた事實である。視紅褪良過程中に,Chloroform溶液で386mμ,石油エーテル溶液で365mμ,Carr-Price氏反應で664mμに吸收極大を示すWald氏の所謂retinene1の吸收を示し,更に褪色すると吸收極大は325mμに移る。これはvitamin A1の吸收である。最後に眞白に褪色した状態では全く蛋白の吸收だけを示す。かように吸收極大の點から見ても視紅の500mμからretinen1の385〜365mμを經てvitamin A1の325mμに移り,遂に300mμ以下の短波長のみの吸收になる。かゝる變化が生體内で自由自在でに進行し,又逆に合成されるのは甚だ興味のある事である。
1944年Morton,Goodwin氏1等によりreti-nene1はvitamin A1 aldehydeであることが示されている。その構造は恐らく下記の如きものであろうと想像されている。
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