臨床講義
眼窠腫瘍
宇山 安夫
1
1大阪大学
pp.431-433
発行日 1950年10月15日
Published Date 1950/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200696
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患者 南○文○ 女子 28歳
〔既往症〕今から10年前の18歳の時,左眼の外眼角の上部に眼瞼に掩はれて腫瘍の出て來るのに氣付いたので某医を訪れたところ,これは眼窠から発生した腫瘍だから摘出しなければならないと言われたので手術を受けた.其の時手術をするのに今一人の應援の先生が來て,2人で手術をして呉れたと言う.(この話によると,其の医師はこの手術を相当重視して愼重に行つたことが想像される).然し手術をして貰つた後に,どうもまだ腫瘍の一部か殘つている樣な氣がしたが,だんだん後になつて吸收するであろうとのことにその儘に放置していた.
ところでそれから2〜3年する中に,その腫瘍が少し宛大きくなり,外眼角の下方え拡がる樣になと,腫瘍の増大する速度が次第に増して來たが,其の間10年を経過して本年春,今囘は他の眠科医に診て貰つた.その医師は手術をためらつてして呉れなかつたが,外科え行くと直ぐ手術をして呉れたが,腫瘍の一部を切除したのみで.充分取除けていないことが自分にもよく了解出來たと謂う.
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