臨床實驗
フリクテン性疾患に對するレスタミンの局所療法
大山 秀
1
,
淸沢 兼久
1
1横浜中央病院眼科
pp.364-366
発行日 1950年9月15日
Published Date 1950/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200665
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最近に於けるアレルギー(以下アと記す)学説の発展は誠にめざましいものがあり,其の病理発生に関してはヒスタミン説(Dale),細胞膜説(Doerr),ヒヨリン説(中村,Hoff),或いは細胞反應説等種々の学説は樹てられたが未だに解決を見ないようである.最近Daleのヒスタミン説に基礎を置いてフランス,アメリカで抗ヒスタミン剤の研究が旺んとなり既に20数種の製剤を見,本邦にてもレスタミン,アネルゲン等が現われるに到つた.之等抗ヒスタミン剤のア性疾患に対する全身的投與に就ては既に眼科領域は勿論皮膚科,小兒科其の他の領域に於ても報告は散見する所であるが,其の局所使用に就ては,春季カタルに対する今井氏,及び昭和24年度関東眼科集談会に於ける向山氏の結核ア性疾患に対する應用以外には未だ報告を見ない.
私共は結核ア性疾患の発生は全身の結核ア状態にAn—ageを置くは勿論ながら,其の眼局所発現に関しては局所的要約の重要性に鑑み,又抗原体反應に際して生ずるとされる組織のヒスタミン発生が必ずしもア炎の本態でもあるまいとの見解から,眼疾患の如き局所的なものに於ては抗ヒスタミン剤の投與は全身的より寧ろ局所に集中的に作用せしめた方が効果的ならんと考へ10月以來レスタミンの局所療法を施行し見るべき効果があつたのでここに報告し諸先輩の御批判を仰ぐ次第である.
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