臨床實驗
暗順應經過中に於ける光度差別閾値と刺戟面々積の關係に就て
川端 義雄
1
,
宇山 利孝
1
1大阪大學眼科
pp.488-490
発行日 1949年11月15日
Published Date 1949/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200478
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緒言
光刺戟而視標の大きさと光度差別能に關する研究は,1865年既にH.Aubertにより研究の對稱として採り擧げられて來た。即ち氏は網膜中心部に於ては,光刺戟面が大なる程光度差別能は良好にして,光度差別閾値ΔI/Iは小なることを明かにした。爾來Guillery (1897),Garton (1907),Lasereff (1911),Heinz u. Lippay (1928)氏等により本問題が追試されて來た。而して光刺戟面視標の大いさと光度差別閾値の相互關係に就てはAubert氏の業績と等しく光刺戟面視標が大となる程光度差別閾値は小となることを認めて來たのである。然しながら此等の人々の實驗に於ては,光度差別閾値ΔI/Iの基準光度「I」に順應せる場合の成績にして,基準光度「I」に順應せざる場合,即ち「I」が最低刺戟閾値である際には,ΔI/Iは「I」の變化に伴つて,或は亦光刺戟面の大小によつて如何なる樣相を呈するものなるかに就ては,未だ何人の手によつても實驗檢討されて來なかつたのである。而して暗順應經過中に於ける最低刺戟閾値「I」に對するΔI/Iを測定せるものとしては,只だ教室の池田一三氏(昭和15年)飯沼剛氏(昭和22年)の研究あるのみなれども氏等も亦光刺戟面大小の影響に關しては何等詳述せられなかつたのである。
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