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特集 ロービジョンケアの基本をマスターしよう
障害告知の方法とタイミング
How and when to notify visual impairment
仲泊 聡
1
Satoshi Nakadomari
1
1国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科
pp.142-147
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410105106
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はじめに
治療の限界を最も早く知る立場にいる眼科医が視覚リハビリテーションへの導入をしなければ,視覚に障害をもつ者はいたずらに無為の日々を送ることになる。そして,障害告知はその契機になる。しかし,その目的が達成できるのなら,少なくとも自分がされるほうの立場であったなら,ソフトランディングさせて欲しいとも思う。では,障害告知の意味とは,そしてその目的は一体何なのだろう。告知をする以上,その目的が何であれ,患者の事後の人生にとって有益になることでなければその意義はない。
視覚障害告知の目的は,患者の行動をそれまでの治療に専念するというものから,治療とは異なる方法で視機能低下に対処し,生活を新しい様式と価値観でスタートさせるように変容させることである。それなら,この目的を告知なしに実現できたなら,必ずしも告知は必要ではないだろう。しかし,実際にはそれが必要な場合が少なくない。視覚障害の場合,それは,身体障害者手帳(以下,手帳)の取得を要する場合に生じることが多い。手帳取得の要件には,視機能低下の基準だけではなく,その永続性が明記されている。したがって,手帳取得の斡旋は,通常そのまま障害の告知になる。
障害告知に対する価値観は,時代や立場さらには人生観や死生観によりきわめて多様であり,画一的ではない。本稿では,視覚障害の告知をすることになった場合,どのような点に配慮すべきかについて私見を述べたい。そして,それをより深く理解していただくために,まず,告知に対する考え方の歴史から紹介する。
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