書評
ボツリヌス療法アトラス
木村 彰男
1
1慶應義塾大/リハビリテーション医学・医工連携
pp.1722
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104533
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ボツリヌス菌が産生するボツリヌス毒素は,神経筋接合部でアセチルコリンの放出を妨げる働きをもつ。一般にボツリヌス毒素の作用は末梢性に限られるとされており,筋弛緩,鎮痛作用に効果のあることが確認されている。そのため,近年では各種疾患の治療に用いられるようになり,多方面から注目を集めている。
日本国内においてはA型ボツリヌス毒素製剤ボトックス®が注射剤として承認されており,1996年に眼瞼痙攣,2000年に片側顔面痙攣,2001年に痙性斜頸,2009年に2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足へと徐々にその適応が拡大され,2010年に上肢痙縮・下肢痙縮への適応承認へと至る経過をたどっている。リハビリテーション医学・医療の分野では上肢痙縮・下肢痙縮に対するボツリヌス毒素の適応が拡大されたことにより,特に脳卒中患者の後遺症に対する治療として急速に広まりつつある。ただ,どの筋を目的に,どのくらいの用量を使用するかに関してはまだ基準がなく,臨床経験の積み重ねにより標準化されてゆくことが期待されている状況である。
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