--------------------
第16回日本臨床眼科学会研究グループディスカッション(6)—ERG
森 寛志
1
,
高橋 利兵衛
1
,
堀江 栄治
1
,
浜津 恒男
1
,
真田 知彰
2
,
松尾 治亘
2
,
高橋 恒夫
2
,
久保 敏雄
2
,
中川 脩
3
,
中島 章
3
,
窪田 靖夫
4
,
阿部 信博
5
,
広瀬 竜夫
6
,
升田 義次
6
,
杉田 雄一郎
7
,
永谷 忠
8
,
真鍋 礼三
9
,
尾辻 孟
9
,
永田 誠
10
,
高田 英元
10
,
矢野 敏郎
10
,
瀬川 朝一
11
,
石川 哲
12
,
横田 庸男
13
,
上野山 謙四郎
14
,
川口 暢彦
15
,
田辺 幸雄
15
,
倉知 与志
16
1岩手医大
2東京医大
3順天堂
4千葉大
5東北大
6金沢大
7名大
8山口医大
9阪大
10京大
11鳥取大
12東大
13都立大久保病院
14和歌山大
15大阪市大
16金大
pp.61-66
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202865
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.律動様小波と網膜のインピーダンスについて
我々は先に,ERGの律動様小波が糖尿病性網膜症を初め,多くの眼疾患で選択的に消失又は減弱する事実を発見し,この事実が臨床診断に大いに役立つことを報告した。更に,現在の所,律動様小波の起源として双極細胞層が最も有力であると考えられている。しかし,上記の眼疾患で律動様小波が選択的に消失した場合,直ちに双極細胞層の障害と断じてよいだろうか。ここで律動様小波が高い周波数を有することを想起しよう。一方,網膜に容量や抵抗の存在が想定されている。これ等のことを考慮に入れると,網膜のインピーダンスは,b波と律動様小波に対して異なることが予想される。即ち,律動様小波の起源と考えられる双極細胞層の障害以外に,網膜の容量の変化でも律動様小波の選択的な消失又は減弱が起る可能性がある。
今回私は家兎の眼球内外に挿入した2つの刺激電極(銀—塩化銀電極)間に種々の周波数の交流を通し,これらの交流をERG誘導法と同じく,角膜と前額部に置いた2つの亜鉛硫酸亜鉛電極から記録した。そしてこれらの交流が眼球壁中を通る間にどのような変化を受けるかを,主に振幅の変化を目安に測定した。この実験成績からb波と律動様小波のような周波数の異なつた2つの成分に眼球壁がどのような影響を及ぼすかについて考按を行いたいと思う。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.