特集 眼科基本診療Update—私はこうしている
2.治療に必要な基本技術
水晶体疾患の治療
眼内レンズの種類と選択
吉富 文昭
1
1太宰府吉富眼科医院
pp.225-226
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907074
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昔の思い出
かつてわれわれが後房型眼内レンズを折り畳まずに挿入していた時代があった。その時代がかなり長期間であったためか,いろいろな眼内レンズが現れては消えていった。おおむね光学部の形は正円形であったが,ときには楕円形のものもあった。また光学部にpositioning holeという名のdial-ingの際フックをかける穴まで用意したuserfriendlyなレンズもあった。レンズ支持部hapticsの形もJ型とC型があり,その長さもまちまちだった。レンズ光学部の大きさにいたっては,大きいものでは直径7mmから小さいものは5mmと至れり尽せりであった。そのほか,レンズ光学部の前面を凸にするか,後面を凸にするか,両面を凸にするかとか,エッジに縁取りを付けるとかなど,幾多のマイナーチェンジがあった。それやこれやでこの時代,レンズの種類とその使用経験報告は星の数となった。
しかしながら今からその時代を振り返ると,その時代の眼内レンズは2種類しかなかったように感じられる。PMMA製の光学部にポリプロピレン製支持部を装着した前期のものと,光学部も支持部もともにPMMA製の後期のものである。この支持部のポリプロピレンからPMMAへの変更は,この時代に得られた最も大きな収穫であった。これによってレンズの長期の安定性が格段に向上したのである。それまではレンズ偏位など日常茶飯事だったのである。
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