特集 新しい時代の白内障手術
Ⅱ.満足度の高い眼内レンズ度数決定
異常眼軸長眼に対する度数決定
魚里 博
1
,
川守田 拓志
1
1北里大学医療衛生学部視覚機能療法学専攻
pp.114-117
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103408
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はじめに
Haigis1)によると眼軸長22mm以下,25mm以上が各々11%程度であることから,短眼軸眼や長眼軸眼に対する眼内レンズ度数決定は,重要な課題である。
眼内レンズ計算式の発展の歴史を振り返ると,第1世代回帰式であるSRK式は,P=A-0.9K-2.5L(P:眼内レンズ度数,A:A定数,K:角膜屈折力,L:眼軸長)で表される。ここでは術後前房深度や眼軸長が考慮されておらず,また線形回帰であったため,短眼軸眼や長眼軸眼で誤差が非常に大きかった。第2世代のSRK Ⅱ式やBinkhorst Ⅱ式,第3世代のSRK/T式,Holladay Ⅰ式,Hoffer Q式では眼軸長と術後前房深度が考慮され,短眼軸眼や長眼軸眼において眼内レンズ度数精度が大きく向上した。さらに最近では,眼軸と角膜屈折力に加えて,年齢や性別,角膜径,術前前房深度を考慮したHolladay Ⅱ式が登場した。
しかし,Hoffer2)によると各理論式で正常眼の平均絶対誤差が約0.5Dに対し,短眼軸眼の平均絶対誤差は約0.8Dと報告されているため,精度は未だ十分とは言い難い。そこで本項では,短眼軸眼や長眼軸眼に対する眼内レンズ度数決定の問題点と対策を考える。
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