特集 新しい時代の白内障手術
Ⅰ.感染予防
新しい時代の術後感染症への考え方
浅利 誠志
1
1大阪大学医学部附属病院感染制御部・検査部
pp.18-23
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103390
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はじめに
術後感染予防は,術前・術後に分けて考えるのではなく,医療関連感染(healthcare-associated infection:HAI)予防として,患者入院時から退院時までの感染リスクをトータルに管理・制御することが世界共通の新たな考え方である。その目的は,患者を各種感染から防止すると同時に,医療関連者も業務感染から守ることにある。
術後感染の多くは病院入院時以降のスタッフ,医療機器,ベッド,トイレのドアノブなどとの接触による耐性菌汚染,また長期術前抗菌薬投与による外眼部菌交代現象などにより術後感染症起因菌は大きく変遷する。結核や麻疹患者が多い日本では,医療関連者が結核,麻疹,水痘,風疹,ムンプスなどに罹患し,気づかないうちに入院患者および医療関連者へ伝播している。さらに,感染患者は退院後に発症しているため医療側は気づかないことが多いが,これは明らかにHAIである。
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