特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅱ.治療編
1.治療時期
《マイオピニオン》手術のタイミング
白土 城照
1
1四谷しらと眼科
pp.222-227
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103000
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はじめに
緑内障眼において,薬物療法によっても高眼圧が持続し,かつ視野あるいは視神経障害の進行が明らかである例へ手術的眼圧下降を図ることについての異論は少ないが,眼圧下降が得られながら視野障害が進行する症例や,正常眼圧緑内障への手術適応については,緑内障手術が単なる眼圧下降手段にすぎないことや十分な眼圧下降後も約20%の症例で視野障害が進行することを考えると,その適応の決断はきわめて難しい(表1)。
各術式での眼圧下降成績と合併症については別項を参照されたいが,わが国の緑内障診療の多くを占める正常眼圧緑内障を対象とした線維柱帯切除術の成績は,おおむね術後平均眼圧8~11mmHgで,その長期維持確率(眼圧下降20%以上)は約40%であり,術後白内障などによる視機能低下が30%程度に生じる。したがって手術適応の決定は各医師の経験によるところが大きいが,以下に現在筆者が正常眼圧緑内障への手術適応に際して考慮している事項を述べる1)(表2)。
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