特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて
Ⅰ.診断編
2.隅 角
前眼部OCTの隅角所見
三嶋 弘一
1
1東京大学大学院医学系研究科外科学専攻眼科学
pp.60-67
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102921
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はじめに
隅角所見の診断において,一般的な診察機器を用いてできるものとして,細隙灯顕微鏡検査による周辺部前房深度の観察(van Herick分類),隅角鏡を用いた隅角検査などがある。しかし,これらの検査は主観的,定性的であり,客観性,定量性に乏しく,また,熟練した検者でなければ隅角の3次元構造を理解しづらい。1990年代初頭に開発された超音波生体顕微鏡(utrasound biomicroscopy:UBM)は,高周波の超音波によって前眼部断層像が撮影可能であり,さまざまな生理的,病理的前眼部構造の解析に役立ち,とくに閉塞隅角緑内障の隅角構造の理解を進めた。
近年,これまで眼底とくに網膜の解析に応用されていた光干渉の技術が前眼部にも応用され,前眼部光干渉断層計(anterior segment optical coherence tomograph:前眼部OCT)が開発されている。まず,細隙灯顕微鏡にタイムドメインOCTを組合わせたものとして,SL-OCTTMがハイデルベルグ社から発表された。2007年にカールツァイスメディテック社より,タイムドメイン前眼部OCTであるVisanteTM OCTが発売された(図1a)。2008年には前眼部OCTとしては初めてのフーリエドメインOCTとなるCASIAがトーメーコーポレーションより発売されている(図1b)。
本項ではOCTの原理から,前眼部OCTによる実際の所見,またその特徴などについて解説したい。
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