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特集 糖尿病の眼合併症
糖尿病合併症の病態―内科医からのメッセージ
Pathogenesis of diabetic complications-a message for ophthalmologist from physician
安孫子 亜津子
1
,
羽田 勝計
1
Atsuko Abiko
1
1旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野
pp.1803-1809
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102529
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はじめに
2006年に国連が糖尿病の撲滅を目指す採択をし,毎年11月14日を世界糖尿病デーと定めたことは記憶に新しい。世界中の糖尿病人口は増え続け,世界では糖尿病に関連する病気で約10秒に1人の割合で死亡しているという現状がある。
わが国の糖尿病患者数も増加し続けており,2006年の国民健康・栄養調査報告によると,糖尿病が強く疑われる人は820万人,糖尿病の可能性が否定できない人も合わせると1,870万人であると報告されている。この増加の背景として,近年注目のメタボリックシンドロームがある。現在の日本の診断基準によると,40~74歳の男性のほぼ2人に1人,女性の5人に1人がメタボリックシンドロームの該当者か予備軍といわれている。
糖尿病は長期間無治療であったり,慢性的に血糖コントロール不良状態が続くと,さまざまな血管合併症が起こる。この合併症は早期にはほとんどが無症状であるが,進行すると日常生活の質(QOL)を維持できなくなったり,健康な人と同じ寿命を確保できなくなることが糖尿病の大きな問題点である。1991~2000年におけるわが国の糖尿病患者の平均死亡時年齢は,男性68.0歳,女性71.6歳で,同時代の日本人一般の平均寿命に比して,それぞれ9.6歳,13.0歳短命であった1)。そのため,糖尿病合併症を予防し,進行を阻止するためには血糖コントロールをはじめとした治療が必要である。合併症は全身に及ぶために,内科のみならず各診療科やコメディカルとも連携を密にし,患者をトータルに診察,治療していくことも重要である。
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